GAME SOMMELIER

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

スポンサーサイト

--.--.-- | Comment(-)
imgDEHR.jpg

時計仕掛けの人間

蝋で固めた翼で空を飛ぶが、太陽に近づきすぎて堕ちてしまう。ギリシャ神話のなかでもこのイカロスの物語はよく知られているが、イカロスの姿は21世紀のわれわれと奇妙にシンクロする。原子力や遺伝子操作といった技術を手にしたわれわれは、それが単なる進化の過程なのか、それとも神への越権行為なのか自問を続けている。いずれにせよ、与えられた自由が自滅への道へ続いていることに気づくときは、それが墜落したときだったことを、われわれはこの物語から学ばなければいけない。


『Deus Ex: Human Revolution』はオーバー・テクノロジーが生み出す倫理的な問いを投げかけてくる。2027年、人体拡張技術オーグメンテーションが普及しつつあった。オーグメンテーションは、筋力や視力と言った身体的な強化にとどまらず、脳をコンピューターに見立てその処理速度を大幅に上げることも可能にした。それにともない、人々はオーグメンテーション支持/不支持に分断され、各地でデモが起き、やがてそれは暴動に発展していた。皆さんはどう思うだろう。私は反対だ。人間は地に足のついた生活をすべきと思う。飛行機が墜落しそうになったとき、エンジン再起動のマニュアルが3ページもあったら困るのと同じで、高度すぎる技術は何かと収拾がつかなってしまうものだ。


だが、これは決して本作の回答ではない。プレイヤーはあらゆる場面で選択を求められ、それによって結末も大きく異なってくるのだ。それは潜入経路であったり、犯罪者を説得するときも同じで、プレイヤーはアダム・ジェンセンの役を演じることになる。そう、本作は文字通りのロール・プレイング・ゲームなのだ。


メールや電子新聞などを通して、プレイヤーは世界への理解を深めていく。それは知らなくても差し支えはないが、知れば世界はより密度を増し、陰影は深くなっていく。たとえば自室のバスルームにある割れた鏡。PCのメールボックスをみると修理業者から依頼を受諾したこと、そして壊れた理由を問われていることが分かる(このときPCはチェックしなくてもいいし、気の早いプレイヤーならばバスルームは立ち寄らないかもしれない)。想像するに、これはジェンセンが鏡に映ったサイボーグの自分の体を見て、衝動的に壊してしまったのだろう。彼ほどの感情を表に出さず、常に冷静である人物を駆り立てたものとはなんだろう。このゲームの余白には、プレイヤーが加筆していくことになるのだ。
プレイスタイルは隠密行動が原則で、それに加え会話やハッキングを駆使して進むことになる。殺傷武器も用意されているものの、こちらは銃撃戦に耐えられる体力がないため(アップグレードで多少の強化はできるが基本的には2階から落ちると死ぬ)、あくまで“護身用”と考えた方がいいだろう。ステルスに関しては、攻略しがいのある作りになっている。潜入経路からして、往年の通風孔を使うだけでなく、隣の建物からジャンプしたり、下水道から地下フロアにアプローチしたりと様々だ。フロアは広く構造は複雑で、マップを確認しながらルートを決めていく必要がある。もちろん正解は一つじゃない。セーブがいつでも可能なのは、「こんどはこっちのルートでいってみよう」といったトライ・アンド・エラーを促し、攻略サイトに頼らない考える楽しさを提供している。


デヴィット・サリフのジレからミーガン・リードのソファに至るまで、そこかしこでアートのセンスが光る。そもそもこの作品のベースカラーである黒に金という組み合わせも。それだけにグラフィックについては物足りなく思えてしまう。もしこの素晴らしい世界をもっと高画質で体験できたらと思わずにはいられない。人物の表情は、まるで機械仕掛けの人形のようにぎこちなく、どういうわけか仲間の顔が敵兵に流用されていたりする。文系の人間が集まったレーシング・チームのように、プロットやアート・スタイルは申し分ないのだが、技術的な部分で欠点が散見される。


『Deus Ex: Human Revolution』は扱うテーマと同じように進歩的で、リファレンスとして多く影響を与える作品だ。ストーリーを味わうために、そして別の攻略法を試すために、即座に2周目をプレイしたくなるはずだ。グラフィックと技術上の問題が改善された『Deus Ex: Human Revolution -REMASTER-』が10年後出るとしたら、それは死角のない完璧な作品だ。
Score: 8.0/10
2014.01.28 | Comment(2)

Comment

サイバーパンク!

Deus Exのレビュー記事解禁、お待ちしておりました!
サイバーパンクの舞台を作りつつも、現代に投影された光と影のストーリーは
夢中にさせられました。
Coopの時もお話しましたが、舞台がサイバーパンクのエッセンスを加えつつも、黒と金のコントラストがメリハリが付いて…"面白い"という相乗効果を生んでるんですよね

また、記事内でも書かれてますが、ローカライズも良く出来ているんですよね スクエニのくせに(笑)
何気ない新聞でも興味深いサイドストーリーやゴシップ記事が書かれていて、自分もスクエニの配慮には驚きましたね

次世代機発売まで1ヶ月切っているので、遊ぶ時間が限られていると思いますがDLCもぜひ遊んでみてください!
本編を楽しいと思えたら、きっと夢中ににさせてくれるハズです。

それからこの間はCoop、お疲れ様&ありがとうございました!
またよろしくお願いします。

2014/01/30/ 10:43 from NAKARx4G  URL

>NAKARx4Gさん

コメントありがとうございます!

未来のお話ながら現代社会が直面する問題と関わっているので深く考えさせられました。
いつも夜で色調も統一されていたので、独特な雰囲気も出てますよね。
テーマももちろん、そういった雰囲気作りもすごく良かったです。

ローカライズも吹き替えで、電子新聞なんかもちゃんと翻訳されていて嬉しかったですね。
声優さんには詳しくないのですが、担当されてるのは有名な方のようですね。
サリフ社長の渋い声、けっこう好きでした(笑)

DLCももちろんやります!
PS4買っちゃうとしばらくそっちばかりになると思うので、
なんとしても22日までには終わらせたいですな。

いえいえ、こちらこそ楽しかったです!
ゴールドも切れちゃうことですし次回はPS4ですかね。
PSNでもよろしくお願いします!

2014/01/31/ 00:45 from dot  shi  URL Edit

非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。